竹光 takemitsu 2005 6 12
企業や株主が、経済効率性を求めるのは正しいが、
政治家が、それを求めたら、誤りとなる。
政治家は、30年後や50年後の国力や国益を考えなければならない。
たとえば、こんな例があります。
アメリカは、軍事産業を除けば、いつの間にか、
工業国家をやめて、消費国家になってしまいました。
いや、軍事産業だって、電子部品は、日本製か台湾製かもしれません。
産業革命の発祥の地である大英帝国も、
工業が衰えて、典型的な金融国家になってしまいました。
工業国家である日本だって、あやしいのです。
労働力の基礎となる生産人口が、少子化によって、減少しているのです。
さらに、子供や若者に、「理数離れ」や「理数嫌い」が広がっているのです。
今、日本が豊かなのは、優秀な工業製品を作って、
それを輸出し、儲けてきたからです。
豊かであることを、当然と考えてはいけないのです。
優秀な工業製品を作るには、労働力と技術者が必要です。
これが、日本の基本です。
竹光 takemitsu 2004 2 27
「竹光」とは、広辞苑によれば、
竹を削って、それを刀身とした刀です。
本物の刀身は、どうしたのか。
それは、武士が、生活に困って、質屋に売ってしまったのです。
こうして、江戸幕府を支えてきた武士たちが没落していくと、
江戸幕府も、没落していったのです。
しかし、これは、笑い事ではありません。
現代でも、あり得る話です。
たとえば、カメラメーカーの経営者が、経営成績を向上させるために、
社員をクビにして、人件費の安い国で、カメラを生産させる。
こういう方法ならば、短期間で、経営成績が上昇し、株主に喜ばれます。
しかし、これは、現代の「竹光」なのです。
こういう企業は、江戸時代の武士と同じ運命をたどります。
将来、新聞社も、こうなるかもしれない。
新聞社が、新聞記事を、新聞制作会社に業務委託する。
こうなっては、おしまいですが、あり得ない話ではありません。
新聞記者という仕事は、かなり重労働な仕事です。
その重労働な仕事を嫌う傾向が、若者にはあります。
今、日本を見渡せば、
このような「竹光現象」が、たくさんあるでしょう。
しかし、これでは、やがて、江戸幕府と同じ運命をたどります。
日本のセールスポイントは、何でしょうか。
資源ですか。資源はありません。
農産物ですか。農産物を輸出するほど、国土は広くありません。
日本のセールスポイントは、科学技術と生産技術です。
その科学技術と生産技術が、海外に流出してしまえば、日本は終わりです。
「竹光」とは、広辞苑によれば、
竹を削って、それを刀身とした刀です。
本物の刀身は、どうしたのか。
それは、武士が、生活に困って、質屋に売ってしまったのです。